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最高裁判所第二小法廷 昭和31年(あ)863号 決定 1958年10月31日

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人寺田熊雄の上告趣意は、原判決の判例違反をいうけれども、引用の判例は本件に適切でなく、所論は刑訴四〇五条の上告理由に当らない。(そして本件のように、窃盗犯人が現行犯として被害者に一応逮捕せられ警察官に引き渡されるまでの間、被逮捕状態を脱するため、被害者に暴行を加えこれを傷害した場合は、刑法二三八条にいう「逮捕ヲ免レ」るため暴行をなしたときとして強盗をもって論ずべく、強盗が人を傷害したものとして同法二四〇条前段を適用すべきこと原判示のとおりである。)また記録を調べても刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。

よって同四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見で主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎 裁判官 河村大助 裁判官 奥野健一)

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